「………金で命が助けられるなら

躊躇するなよって、昔

父さんに言われたことがあるんだよ。」


「ありがとな。」


「別に。俺は心臓提供できねーし

金持ちができることは金を出すことだけだよ。」


「そんなことないよ。

………私は湊がいてよかったもん。

美波があんなに強かったのも

湊に会いたかったから。

お金だけじゃ命は救えないよ。

ね、大輝。」


「そうだな。」


結局、人は誰かの思いやりで生きている。

大輝を助けたいという湊の思いやりがあったからこそ

湊は湊にできることをしたんだ。


お金を出しただけ、なんて

それだけのことじゃない。

大事なのはそこじゃない。


支えて、支えられて

そうやって生きてくんだ。