生きる。~番外編~




「ところでなんで大輝がここにいるの?

約束してたの?」


「朝、雄から電話来たろ?

あのとき会社に客が来てるって言われて

普通なら俺は不在で帰すんだけど

大輝が俺のプライベート用名刺を持ってたから

雄も俺に電話してきたんだよ。

由茉、勝手に渡したろ。」


「あ、渡しましたね。」


「まぁ別にいいけどな。

で、ここで待ち合わせをしたってわけ。」


「へー、そっか。

日本に来たら会いに来てって言ったもんね。」


「それだけじゃないんだよ。」


「え?」


「俺、本当は金足りなかったらしいんだ。

保険、募金、借金、いろいろしたんだけど

それでもまだ足りなかった。

親はもういろんな金融機関に頼るしかない

って状態だったんだよ。


なのに、俺の術後すぐに

多額の募金が集まった。突然な。

匿名だったけど、そんな多額の募金

できるやつなんか限られてるの思って。


だからお礼を言いたくて。」


「………もしかして湊?」


「さぁ?」


「とぼけてもバレバレ。

橘グループの御曹司さん?」