「妊娠、してたんだな。
じゃああの急なトイレもそれが原因だった
ってことか。」
「はは、さすがにバレバレだよね。
私がトイレにいくときっていつも必死だったし。」
「どんだけ急なんだよ、とは思ってたけど。
もうすぐ産まれるよ。」
「そっか。
おめでとう。」
「大輝もね。退院おめでと。
よかったでしょ?移植して。」
「そりゃもちろん。
由茉の言ってたこと、わかぅたわ。
退院して、外に出て、太陽にお礼を言う。
なんか、今ならなんでもできる気がする。
人間って簡単に死ぬんだなって思ってたけど
思ったより俺ってしぶといなって。
俺の生命力って柔じゃねーなって。」
「でしょ?
だからね、多少な無茶なら
全然大したことないんだよね。」
「病気になったお陰で
英語もかなり上達したしな。」
「私なんか、小さい頃渡米したから
日本帰って来たら読めない漢字だらけで
迷子になりそうだったよ。
空港はローマ字表記あるけど、
他はもうわけわかんなくて。
……ちょっと懐かしいや。」


