「お、今日は旦那さんとー?」
待合室で呼ばれるのを待っていると
担当医が通りかかった。
20代後半、とっても元気な女医さん。
「あ、はい。
今日は休みがとれたので一緒です~。」
「そっかそっか。
もう呼ぶからちょっと待っててね!」
「はーい。」
先生は若いのに優秀で
とっても忙しいのに私のためだけに
外来までも来てくれる。
橘家の権力なのか知らないけど………
「あの人か。」
「うん。さっぱりしてるでしょ。」
「そうだな。」
「先生はまだ独身で、
私も早く結婚して子供産みたい~!
が口癖だよ。
彼氏すらいないのにね。」
「それは絶望的だな。」
「この前なんてね、一輝と来たら
かっこいい!とか言い出してね、
最初は旦那さん!?とか勘違いしてたけど
兄ですって教えてあげたら
紹介して!って言い出してさ。
妻子持ちだからそれはちょっと……
って一輝も困ってたよー。」
「まぁ一輝さんはそういうの
もともと苦手だしな。」
「ね。
先生ももう必死そうだったよ。
誰か紹介してあげなよ。」
「むりむり。」
「そういうと思いました。」


