━━━━━━━━━━━━━━・・・・
「大丈夫か?」
湊はお腹の大きな私をいつも心配する。
車の乗り降りだけでも必ず来てくれる。
「ふふ、大丈夫。
心配しすぎ。」
車で約15分。
湊が見つけてきた
女医さんのいる大学病院へついた。
近所のところでもよかったのに
「何かあったら困るから!」と
慎一さんまで言い出して、ここになった。
設備の整った大学病院じゃなきゃ嫌なんだって。
こんな健康体が大学病院で出産なんて
なんだか申し訳ないんだけどね……
「俺もここで生まれたんだよ。」
「え、そうなんだ。
じゃあパパと一緒だねー。」
「由茉は?」
「私も大学病院。ここじゃないけどね。
開業医のところに通ってたんだけど
緊急搬送された先で生まれたんだって。
仮死状態だったらしくて。」
たまに忘れるよね。
私、心臓病だったんだよ。
何回も生死さまよったのに
今では私も子供を産もうとしている。
人間の生命力ってすごい。


