生きる。~番外編~




そして私が妊娠したとわかってから

湊はすぐに車を買った。


元々免許はあったのだけれど

車はいつも西尾さんの運転で

他はバイクばかりだったから。


「よし、動くぞ。」


湊が運転するのはずっと変な感じだったけど

今ではそんな光景にもすっかり慣れた。


車は屋敷のでいいじゃん、

なんて思ったりもしたけど湊は

高級外車じゃなくて普通の車がいい

と言って国産ファミリーカーを選んだ。

それでも高いんだけどさ。


私がなかなかセレブ生活に慣れない代わりに

湊が少しずつ私の感覚に合わせてくれている。

無理なく、自然に。


普段の生活は庶民に戻りたいのだ。


パーティとか、そういうときはセレブ気取りするけど。

なんちゃってセレブだけど、私なんか。


「平日に休めたの、久しぶりだね。」


「一回くらい、一緒に検診

行ってみたかったしな。

日曜休みじゃ行けねーし。」


「忙しいのにありがとね。」