「……人の女に抱きついてんじゃねーよ。」
そういって私から哉斗を剥がす湊。
「うわー、その感じ久しぶり!」
と、湊のテンションとは対照的な哉斗。
「なにしてんだよ、こんなとこで。」
怒りの矛先はもちろん私。
「なにって……お祝いしてくれるっていうから」
「他の男に抱きつくのがお祝いかよ。」
「ごめん…。」
「……なんで俺を置いてったんだよ。」
「……あそこには私の思い出はないから。
ちょっと美波の部屋が見たかっただけ。
だけど湊はそんなことないでしょ。
私がいない方が思い出しやすいと思ったから。」
「はは、由茉ちゃんも素直じゃないね。
美波の事思い出してる湊を見たくなかったんでしょ?」
「……………もー、哉斗!」
「あはは、ごめんごめん!」
なんなのこの人は。
空気ぶち壊すし。
「由茉のこと嫉妬させたんだから
湊も嫉妬して由茉を責めんなよ。」
爽はそう言いながら
私に紅茶を持ってきた。
懐かしい懐かしいアールグレイ。


