「ま、結局その翌年に俺は爽と仲良くなったんだけど。
なんで由茉のこと忘れたんだろうな。」
「……………忘れてなんかないよ。
思い出す必要がなかっただけ。」
「思い出す必要って?」
「忘れられない出来事だから
わざわざ思い出す必要がないんだよ。
思い出さなくても、どっかで覚えてたの。」
「……なるほどな。
忘れてなかったから、思い出さなかったのか。」
「うん。
あの時から私たちは
お互いを必要としてたんだよ。」
「………そうだな。
すげーよな、俺ら。
14年間会ってなかったのに
またお互いを好きになったんだもんな。
奇跡だよなー。
離れてたのに、また再会して。」
「……奇跡なんかじゃないよ。
私は奇跡とか偶然なんて言葉で片付けたくないよ。
私が心臓病でこの世に生まれてきたことも
あの時交わした約束も、
湊が美波と付き合ったことも、
私が美波と友達になったことも
湊と再会して恋人になったことも
全部、必然だったんだよ。
私たちの手で掴んだ運命だよ。」
神様の力なんて要らない。
きっと、あの頃の私があったから
今ここで幸せを掴むことができたんだ。
"奇跡"として神に感謝するならただひとつ。
"この命をありがとう。"


