「……由茉ちゃんはまだ泣く?」
「ううん、もう泣かないよ。
私が泣いてたら湊が美波のこと
思い出せないから。」
あの二人がお互いを大事に想ってることを
ずっと目の当たりにしてきたから
邪魔はできないよ。
「由茉ってお人好しにもほどがあるでしょ。」
美月に言われた。
「ま、しょうがないじゃん。
お互い好きなまま離れたんだから。
しかも美波は死んじゃったんだし。」
「だからって普通そこまで考える?
相手は元カノだよ?」
「まー仕方ないよ。
人は死んじゃったら
人の記憶の中でしか生きられないし。」
「由茉との約束は忘れちゃったのに。」
「あれ、美月も聞いたんだね。」
「まーね。」
「まぁ私もあの頃あの場で死んでたら
湊は忘れずにいてくれてたかもね。」
「死なないと覚えてられないってのも
どうかと思うけど。」
「でも私も忘れてたし。
あのとき殴られて記憶障害になったから
思い出せただけだよ。
代わりに忘れちゃったこともあるし。」
「忘れちゃったこと?」
哉斗が聞いた。


