「あのさぁ…もしかしてなんだけど、

お金持ちなのは湊くん?」


「え?」


「なんとなく、そんな気がしたの。

前に哉斗くんに二人がすんでるとこ聞いたの。

あのマンション、橘グループでしょ?

その最上階に住むのが橘湊って…

もしかして御曹司なのかなって。

でも由茉ちゃん、湊くん借金してるとかいうし…

でもあの車に、運転手に、執事さん。

由茉ちゃんにも付き人がいて、

そのバッグだってすごい高いやつだし…。」


「美幸さんも観察力あるんだね。

湊は橘グループの御曹司。

この人も湊の家の人。私の執事さん。

この指輪は湊が湊のお父さんにお金借りて買ったの。

だから今返済中だよ。

終わったら私たちは結婚するの。」


「そっかぁ、やっぱり。


…あの、哉斗くんは?

あのマンションに一人って…。」


「哉斗からは何も聞いてない?」


「教えてもらえなくて…。」


「哉斗の家は複雑なんだ。

だから、話してくれるの待ってて?」


「……そっか。わかった。」


「哉斗と仲良くね。」


「うん。ありがとう。」


哉斗と同じ職場だもんなぁ…。

自分の父親の会社、とは言いにくいか。

しかと血縁関係じゃないし…。