「由茉、思い出さなくていい。

辛いだろ。」


「…ごめん、平気。」


美波の最後を思い出すと

今でも泣きそうになる。


乗り越えられる日は…きっと、来ない。


それくらい、命は重いものなのだ。


乗り越えるつもりも別にない。


泣いたら笑えばいいんだから。


「あー、美波に会いたい!」


「さっき、美波に会いたくて

海に行ったんじゃないの?」


そう言ったのは爽。


「海にいたんだ?」


湊が聞いてきた。


「うん!

あそこは思い出が濃いからね。」


「俺のこと励ました場所だしね。」


「なんだよ、爽かよ。」


「ふふ、でも湊が告白してくれたのも

プロポーズしてくれたのもあの海だよ。」


私がそういうと湊が微笑んだ。


「湊、ベタ惚れ過ぎて気持ち悪い。」


そう言ったのはいまだに名前がわからない

男の子A。