「由茉ちゃん、辛くなかった?」


「まぁ…辛くないっていったら嘘になるけど

私がいた場所に違う子がいて、

私と同じ苦しみを抱えてて…………

やっぱり、あの頃に比べたら全然。

あの頃は死ぬことしか考えてなかったから。

実はね、私のいた場所の小さな男の子に

あなたは誰?って話しかけられたの。

私は前にここに入院してたって伝えたら

すごく驚いてた。あそこで助かる人は

本当に少数だったから。

私はあの子に大丈夫とか頑張れとか

そんな言葉はかけることはできないけど

でも、幸せになるために生まれてきたと

そう思って大丈夫だよ、ということは伝えた。

私はあそこにいたとき、なんで死ぬ運命なのに

生まれてきたんだろうって考えてたから。


だから、あの子ももしかしたら助からないかもだけど

あそこで友達つくって、自分なりに

幸せな人生だったと思える人生送ってほしいな。」


私の話すことに、みんなは黙って聞いていた。