社長にようやく追いついたとき、行き着いた場所はエレベーターホールだった。


エレベーター、か。


「すみません、エレベーターはちょっと…。」


思わず社長に断わりを入れてしまう。

エレベーターにはいい思い出がない。
この前も社長と共に閉じ込められたばかりだし。


「さすがに俺も68階を上りきったあとに、フルコースは食べられないな。」


ボタンを押した後で、階数表示から目を離さずに言う社長。


そうだった。今から行くレストランは、このホテルの68階に位置する。


日々階段を使ってる私でも、68階は無理だ。

絶対、途中で力尽きる。