「え?社長にぞっこんだったんじゃないんですか?!」


断っても断っても、納得してくれないからって私が恋人のフリしたんじゃなかったっけ?


「まあ、元々俺のことは一目惚れだと言っていたし、一時的な感情だったんだろう。」

「そんなもんですか?」


よく分からない。そんな簡単に、好きな人って変わるの?
なんだか私には理解できない感情だ。


「若さって怖いな。」

「ほんとですね。」


ようやく目を合わせてくれた社長は、苦笑いだった。

社長にも、理解できない感情なんだな。
なんだか安心。


社長は殿上人だけど、意外と感覚は一般とズレてない。
まあ、乗ってる車は一般と違うけど。