「ていうか、お姉ちゃんそんなアグレッシブな恋愛してんの?略奪?」

「ち、違うわよ!ていうか前を見なさい、前を!」


下を向いて考え混んでしまった私を、覗き込んできた道子に恐怖を覚えた。


ただでさえスピード出してるんだから、よそ見をするな!


でも、もし社長に奈々さんへの想いがあるのなら、私が想いを遂げることが略奪となるのか。

うーん、複雑だ。


一人唸っていると、今度はまっすぐ前を見つめたままの道子がゆっくり語り出す。


「女はね、愛するより愛される方が幸せなの。
お姉ちゃんももうすぐ30でしょう?
追いかけてばかりいると、いつか疲れ果てて気づいたらお嫁になんていけない歳になってるよ。」


身内だからこそ、厳しい。厳しすぎる。

ていうか、お嫁に行けない歳って何歳?還暦?

嫌だ。老後に一人暮らしなんて。


私は頑張るって決めたばかりなのに。


あの日からずっと、奈々さんが告白したあとの社長の台詞を考える私がいる。

社長は、なんて答えたんだろう。


何度考えても、マイナスなことしか思いつかない。


やっぱり、諦めたほうがいいのかな。
これは無謀すぎる恋なんだろうか?



神様、どれが正解なんでしょう。