屋上の、鉄の梯子を登ったところにあるスペースで


いつものことながら、俺たちは授業をサボっていた


すると太陽(たいよう)が、徐ながらも少し苛立った声色で口を開く


「さっきの女……何だったんだよ。

悠優が助けてやったってのに、関わんなとか意味分かんねぇ」


普段殆ど喋らない太陽がこんなに喋るなんて、よっぽどさっきの女に怒っているんだろう



「それは俺も同感だけど……

でもあの子、凄く悲しそうな、辛そうな顔してたよね、悠優」


眼鏡をさっと上げながら、(りつ)が俺に問いかけてきた


「あぁ……

何か深い闇を抱えているような目をしていた」


「人が、嫌いなのかなぁ?」


晃が泣きそうな顔で訊いてくる


「分からない。 だが...」


俺が言葉を続けようとした時、誰かが屋上に入ってくる音がした