「………そうだ。

なら葉山くんが教えてよ。」


「はぁ?なんで俺が。」


「いいじゃん。教え方上手だし

ピアノ好きでしょ?」


「むり。そんな暇じゃねーよ。」


「えー、お願いします。」


「俺にメリットねーし。」


「毎日ピアノが聴けるじゃん。」


「ぜんっぜん嬉しくねーよ。」


「ねぇ、お願いお願いお願い!!」


「うるせーよ。」


「だって…

葉山くんがいればもっと上手くなれる気がするもん!」


「……………なんでそんな頑張んの?」


「だってとりあえずコンクールもあるし。

コンクールが約束の日だから………

それまでは全力でピアノやりたいの。

それで、いつか子犬のワルツを教えてもらうの。」


「ふーん。」


「ね、お願い!

本当は私のピアノ、好きじゃないの?

だからいっぱい注意してくれたんでしょ?」


「……………うるせーよ。

わかったよ。ったく。」


「やったぁ!!

じゃあお願いします!!

私、毎朝7時にここに来てるから!

放課後は基本的に家で弾くから

家に来てくれてもいーよ!

ご飯ご馳走するし!

ダメな日はたまにあるけど、前もって言うし。

いい?」


「はいはい、わかりました。」