知らなかった十夜の想い。寂しさ。哀しさ。
それを今日、遥香さんから聞けて本当に良かったと思う。
「遥香さん、十夜の事教えて頂き本当にありがとうございます。 あたし、これからも十夜の事を精一杯愛してあげたいと思います」
遥香さんの言った通りだった。
“私から話した方が説明しやすいと思うの”
遥香さんが十夜に向けて言った言葉。
確かに今までの内容は十夜からは絶対に聞けなかったと思う。
十夜の一番近くにいて、十夜を愛していた遥香さんからしかここまで深くは聞けない。
こんなにも十夜に近付けたのは遥香さんのお陰だ。
「そう言って貰えて安心した。これからも十夜をよろしくお願いします。
……って私がこんな事言うのもおかしいよね」
「いえ!」
深々と頭を下げた後、ごめんね、と申し訳無さそうに苦笑した遥香さんに慌てて両手を振るけど、遥香さんの表情は全く変わらない。
「凛音ちゃん、図々しく此処にいてごめんね。凛音がいる以上此処にいるべきじゃないって事は分かってるんだけど、私が狙われている以上ここで匿って貰うしか道はないの……。
一人になってさらわれたりでもしたら皆に迷惑かかるし……。だから、“D”の件が片付くまで此処にいさせて下さい。
勿論、十夜達が帰って来たら直ぐに一階へ移動するから」


