Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「そんな事口に出して言わなさそうにないのに……」


「うーん……そこは幼馴染みの特権かな。って言うより、私が無理矢理吐き出させたって言った方が正しいけどね」


「え、遥香さんが吐き出させた?」


あの十夜から!?


想像出来ない光景に目を真ん丸に見開く。


「今回だけじゃないよ。凛音ちゃんがお兄さん達と消えてしまった時も、獅鷹総長の妹だって知った時も、私達がドラッグストアで会った後も」


「……」


「十夜はずっと不安と闘ってた。色んな事を悩んで……悩んで悩んで悩み抜いて。

けど、それでも凛音ちゃんへの想いだけは変わらなかった」


「……っ」


知らなかった十夜の想いにもう涙を抑える事は出来なかった。


次々と迫り来る感情が涙へと姿を変えていく。


「……っ」


もう遥香さんに対しての遠慮だとかそんなのは考えられなかった。


頭の中には十夜に逢いたいだとか抱き締めたいだとか、そういう感情しか溢れてこない。



「……私は十夜ほど愛に餓えてる人はいないと思ってる。 両親と祖父母を早くに亡くし、父方の祖父には邪険に扱われる。私達は傍にいるけど、それでも孤独感は消えない。

だから“居場所”を求めたんだと思う。“鳳皇”という自分の居場所を」


居場所……。


「十夜の“優しさ”は十夜が“愛”を求めているから。だから仲間を愛し、大切にする」


「……っ」


「凛音ちゃん、凛音ちゃんは絶対十夜から離れないであげて。十夜の心の大半を占めているのは凛音ちゃんなの」



まるで訴えかける様に放たれる遥香さんの言葉の数々。


それは確かにあたしの心に響いた。