「お婆様はお医者様の告知通り半年後に亡くなったわ。それと同時に私達の“偽りの期間”も終焉を迎えた」
「………」
「結局私もね、お爺様と同じだったの」
「……え?」
同じ……だった?ってどういう意味?
遥香さんの意味深なその発言にクッと眉が寄せれば、それを見た遥香さんが自嘲する様に小さく笑みを浮かべた。
そんな笑みでさえ綺麗だと思うあたしは余程遥香さんに魅せられているのだと思う。
「私はお婆様を失って傷付いている十夜に更に付け込んだの」
聞き取れない程小さく吐き出された言葉。
握り締められた手がぎこちなく解かれ、その手はまるで隠す様に口元へと運ばれた。
それを捉えながら「更にって…?」と顔色を窺いながら問い掛ける。
すると遥香さんは複雑な表情を浮かべ、あたしからスッと目を逸らした。
「“私はずっと十夜の傍にいる。十夜を一人になんかしない。だから本物の恋人になって”」
「……っ、」
「それだけじゃない。私は十夜を手離さない為に色々言ったの。“十夜の事を一番理解しているのは私。
私が十夜を支えて行くから、何があっても十夜から離れたりしないから、だから一緒にいて欲しい”」
「……っ、遥香、さん……」


