Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


ぽつりぽつりと静かに落とされる十夜の哀しい過去。


両親に先立たれ、お爺ちゃんに認めて貰えずに生きてきた十夜の哀しい過去。



「十夜の家はね、うちの隣なの」


「えっ!?」


「この前送ってくれたよね?あの右隣が十夜の家」



う、そ……。


近くにあるかなとは思っていたけど、まさか隣だなんてそんなの思いもしなかった。



「うちに預かると言っても十夜はご飯を食べに来るだけだったわ。どんなに寂しくてもご両親と過ごした家から離れる事はなかった」


「………」


「泣き言の一つも言わず、毎日毎日誰もいない家へと帰っていく。私はそれを見るのが辛かった」


遥香さん……。




「十夜の生活に変化が訪れたのはそれから半年後の春。 中学校での出会いだった」


「中学?」


「そう。出会ったのよ。大切な仲間に」



大切な、仲間?



「それってもしかして……」


「煌と壱くん。彼等に出会ったのは五年前の春だったの」



一変した遥香さんの表情は心から安心しきった様なそんな表情で、本当に十夜の事を心配していたんだと感じられた。



「二人と友達になって十夜は凄く楽しそうだった」


「………」


「でもね、そんな十夜にまた哀しい出来事が起きたの」


「哀しい出来事?」


「そう。母方のお爺様が亡くなった」


「お爺ちゃんが、亡くなった……?」