「……え?え?えー!!と、十夜と遥香さんがイトコ!?血が繋がってる!?」
余りの衝撃にあたしは身体を後ろへ仰け反り大絶叫。
お陰でソファーの背凭れに思いっきりぶつかってしまった。
結構痛かったけど、そんなの今はどうだっていい。
それよりも遥香さんから聞いた事の方が衝撃だった。
だって、遥香さんと十夜はただの幼馴染みだと思っていたから。
血の繋がりがあっただなんてそんなの思ってもみなかった。
「驚かせてごめんね」
「い、いえ……こちらこそ大声出してすみません」
突然知ったとはいえ、少し大声で叫びすぎてしまった。
取り敢えず落ち着かないと。
そう心の中で呟きながらふぅと息を整え、落ち着いた所で再度遥香さんを見据える。
「まさか二人が血の繋がった……」
……って、あれ?
そこまで発した時、一つの疑問が頭を過った。
ちょっと待って。確か十夜の姓って……。
「桐谷じゃ……」
「さすが凛音ちゃん」
あたしの呟いた言葉にふふっと微笑む遥香さん。
「凛音ちゃんの言う通り、十夜の姓は“桐谷”よ。“蒼井”ではなく“桐谷”。それは、十夜が蒼井家と関わっていないから」
「……え?」
「繋がりがあるのは“血”だけなの」
「血、だけ?」
ゆっくりと視線を落とす遥香さんに疑問ばかりが交差して全然整理が出来ない。
「私達のお爺様、蒼井 宗次郎は厳格な人だった。ううん、今も厳格な人。そして、自分の欲望の為なら何でもする人よ」
何でも?
その言葉に思わずキュッと眉根が寄る。
「……今から二十年程前、AOIグループはそれ程有名ではなかった。
けれど、“ある理由”で大企業にまで上り詰めた」


