Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



「凛音ちゃんは私と十夜が付き合っていた事、知ってるんだよね?」


「……っ、」


いきなり切り出された本題にドクンと心臓が飛び跳ねる。


「……はい」


ぎゅっと胸元を押さえながらそう返事をすると、遥香さんは「そっか…」と困った様に小さく笑みを零した。


遥香さんはスッと視線を逸らした後、自分の手を見つめながらポツリ、言葉を落とす。



「ねぇ、凛音ちゃん。恋人ってどこからが恋人だと思う?」


「……え?」


遥香さんのその言葉に口から出たのは間抜けな声。


だって、遥香さんの言った言葉の意味が分からなかったから。


どこからが恋人って……。


「手を繋いだ時から?キスをした時から?それとも“付き合う”と口にした時から?」

「………」


自嘲気味に言葉を吐き出す遥香さん。


そんな遥香さんにあたしは何も応えられなかった。



「もし、“付き合う”と言った時からだとしたら、私達は間違いなく付き合ってた」


「……っ」


やっぱり……。


「でも、半分は偽りだった」



……え?半分は偽り?


思いがけない言葉に目が最大限に見開かれる。


遥香さんは当時を思い出しているのか、目を瞑り、「ふぅ」と大きく息を吐き出した。



「私と十夜が付き合いだしたのは、一年半前の春」


「………」


「そして、別れたのはそれから半年後の夏だった」