何か言わなければいけないのに、その強い輝きに圧倒されて何も言葉が出てこない。
そんなあたしの様子を察してか、遥香さんがふふっと小さく笑みを零し、言葉を紡いでいく。
「凛音ちゃんは十夜のどういう所が好き?顔?性格?それとも鳳皇のトップだから?」
「……っ」
「私は全てが好き。無口だけど優しい所も、不器用で女心が分かってない所も」
「………」
「私は一番近くで十夜を見てきた。良い所も悪い所も全部知ってる」
そう言った遥香さんの表情から偽りの笑顔が消え、代わりに鋭い視線が向けられた。
「言ってる意味、分かるよね?」
「……っ、」
静かにそう問い掛けられた時、あたしの脳が漸く動き始めた。
「……っ、あたしはっ……!」
動き出したら最後、それを止める術は知らない。
「あたしはっ、確かに十夜の事全て知っている訳じゃありません!けど、それはこれから少しずつ知っていこうと思っています!
そりゃ遥香さんみたいに十夜の事を知り尽くすのはまだまだ時間が掛かりそうですけど、それでもこれからずっと十夜の傍にいて、十夜の全てを知っていくつもりです!」
一気に捲し立てたせいで息が上がる。
けど、それでもまだ止まる事はない。
はぁ、と一息ついて更に続ける。
「それに、あたしは十夜の顔が目当てでも鳳皇トップの肩書きが目当てでもありません!十夜自身が好きなんです!
顔も肩書きも関係ない。“十夜”という人間が好き。それはあたしだけじゃなく遥香さんもそうですよね!?」


