Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「うっせぇ。割れたぐらいで発狂すんなよバーカ」


「バッ……!」


馬鹿だと!?人様のチョコを割っといて何だその言い様は!!


「ちょっと言い逃げする気!?」


しれっとした顔でソファーから立ち上がる煌に逃がすまいと直ぐ様食らい付く。


すると、


「お前はそうやって吼えてるぐらいが丁度良いんだよ。下ばっか見てんな」


あたしの頭をベシッと叩いた煌はベーッと舌を出し、玄関の方へ歩いて行った。



「は?え?ちょ、煌!?」


意味が分からずあたふた。


「凛音ちゃん、煌はいつもの凛音ちゃんでいて欲しいって言ってるんだと思うよ」


あたし達のやり取りを見ていたのか、壱さんがクスクスと笑みを零しながらそう教えてくれる。


「そうそう。りっちゃんはずっと笑ってなきゃな。沈んでんのはりっちゃんらしくないし」


「……壱さん…、彼方……」


ニッと笑う二人にさっきよりも熱くなる胸。


「凛音、気合いに一発彼方殴ってもいいぞ!」


「は?何でそうなるんだよ!」


「えー、だって彼方はいつもの凛音が良いんだろ?それって殴られたいって事じゃんか」


「ちょ、なんでそこまで話が飛躍するんだよ!」


「もう喜ぶなってー。な?優音もそう思うだろ?」


「コラコラコラ、優ちんそこで頷くな」


「……優ちん言うな」


あのー、あたし置いてけぼりなんですが。


優音まで巻き込んでワイワイと喋り始めた三人。


放置されたあたしは会話に加われずただ見ているだけで。


それだけならまだしも、四人は喋りながらソファーから立ち上がり、「じゃ、凛音また後でな!」と軽い挨拶をして玄関へ行ってしまった。