Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「十夜、」


気付いたのはあたしだけじゃなく、その場にいた全員が十夜の変化に気付いていた。

全員の視線が十夜に集中する。


「……あぁ、分かった。分かったからお前はそこにいろ。すぐに迎えにいく」


迎えにいく?


十夜の言葉に眉を潜めながら顔を見合わせるあたし達。


一体何かどうなっているのかさっぱり分からない。


電話の主は誰?十夜は誰を迎えに行こうとしてるの?


その答えが分かったのは十夜が電話を切ったすぐ後の事だった。



「充が……“D”にやられた」


「なっ……!?」


「充が!?」


「充くんが!?」



神妙な面持ちでそう言った十夜に身を乗り出し、声を上げたあたし達七人。


「十夜、どういう事!?充くんは、充くんは大丈夫なの!?怪我は!?」


勢いよく立ち上がった遥香さんが真っ青な顔色で十夜に詰め寄る。


「まだハッキリとした事は分からねぇが充は大丈夫だと言ってた。けど、バイクが乗れねぇ状態らしい。だから迎えに行ってくる」


「大丈夫ってバイク乗れないぐらいなんでしょ?全然大丈夫なんかじゃ……」


「まさか、アイツ等の言ってた“掃除”って──」



何かを思い出したかの様にハッと目を開かせた優音。


「優音?」


「凛音、アイツ等、去り際に言ってただろ?“掃除しに行く”って。それって充って奴を始末しに行くって意味だったんじゃねぇのか!?」


「……あ」


そうだ。

あの時確かにシンは“掃除しに行く”って言っていた。


あの時は意味分からなかったけど、優音の言う通りあれはそういう意味だったのかもしれない。


っていうか絶対そうとしか考えられない。