「十夜、」
気付いたのはあたしだけじゃなく、その場にいた全員が十夜の変化に気付いていた。
全員の視線が十夜に集中する。
「……あぁ、分かった。分かったからお前はそこにいろ。すぐに迎えにいく」
迎えにいく?
十夜の言葉に眉を潜めながら顔を見合わせるあたし達。
一体何かどうなっているのかさっぱり分からない。
電話の主は誰?十夜は誰を迎えに行こうとしてるの?
その答えが分かったのは十夜が電話を切ったすぐ後の事だった。
「充が……“D”にやられた」
「なっ……!?」
「充が!?」
「充くんが!?」
神妙な面持ちでそう言った十夜に身を乗り出し、声を上げたあたし達七人。
「十夜、どういう事!?充くんは、充くんは大丈夫なの!?怪我は!?」
勢いよく立ち上がった遥香さんが真っ青な顔色で十夜に詰め寄る。
「まだハッキリとした事は分からねぇが充は大丈夫だと言ってた。けど、バイクが乗れねぇ状態らしい。だから迎えに行ってくる」
「大丈夫ってバイク乗れないぐらいなんでしょ?全然大丈夫なんかじゃ……」
「まさか、アイツ等の言ってた“掃除”って──」
何かを思い出したかの様にハッと目を開かせた優音。
「優音?」
「凛音、アイツ等、去り際に言ってただろ?“掃除しに行く”って。それって充って奴を始末しに行くって意味だったんじゃねぇのか!?」
「……あ」
そうだ。
あの時確かにシンは“掃除しに行く”って言っていた。
あの時は意味分からなかったけど、優音の言う通りあれはそういう意味だったのかもしれない。
っていうか絶対そうとしか考えられない。


