……でも、嬉しかった。
“皆お前が大事なんだ”
そう言ってくれた事が嬉しかった。
だから、皆の本当の気持ちが知りたい。
「……あたし、此処にいてもいいの?」
皆の真意が知りたい。
「何言ってんだよ!当たり前だろっ!!俺は凛音が居なきゃ嫌だ!」
「陽……」
「ずっと此処に居るって約束しただろ!?ずっと仲間だって、ずっと親友だって言ったじゃんか!」
勢いよくソファーから立ち上がった陽が声を荒らげ、真っ直ぐな瞳であたしにそう訴える。
力一杯握り締められた拳と固く結ばれた唇は憤りで小刻みに震えていて。
少しツリ目がちの瞳は不安げにユラユラと揺れていた。
「陽」
そんな陽を静かに制したのは隣にいる壱さん。
壱さんに腕を引かれ、納得のいかない表情で渋々腰を下ろした陽。
あたしはそれを見届けた後、静かに口を開いた。
「……最後に、言われたの。“D”が鳳皇の元傘下、“白狼”だったって事。 そして、その事は中田から聞いてみんな知ってるって」
「凛音……」
「優音も……知ってたんでしょ?」
「……っ」
あぁ、やっぱり。
問い掛けた瞬間、動揺で揺れ動いた優音の瞳。
キツく噛み締められた唇は確かに肯定を意味していて、シンの言ってた事は本当だったんだと落胆せずにはいられなかった。
心のどこかで期待していたのかもしれない。
優音が否定してくれる事を。
自分達は知らなかったって、
何も知らなかったって、
そう否定してくれる事を望んでいた。
けれど、その願いは空しくも打ち砕かれてしまった。
「なんで……教えてくれなかったの?」


