「うわ」


「コレもう履けねぇな」


優音に抱っこして貰ってパンプスを取りに行くと、パンプスは見るも無残な姿になっていて。


誰かに踏まれたのか爪先はベコッと見事に潰れていた。


もう片方はと言えばヒールの根元部分にヒビが入っている。


優音の言う通り、これはもう履けないだろう。


という訳で、このまま抱っこして連れて行って貰う事にした。


別に今更だし裸足で歩いても良かったんだけど、優音が「駄目だ」と言って下ろしてくれず。


仕方無いからお言葉に甘えて素直に抱っこして貰った。


バイクに乗せて貰い、向かうは鳳皇の倉庫。



「──行くぞ」


「……うん」









この時、まさか自分の発言が抗争の引き金になっていたなんて思いもしなかった。



今日、“D”を見つけていなかったら、

余計な事を言わなかったら、


違う道が拓けていたのだろうか。