けど、もしも“理由”なんて無かったとしたら、隠した理由はただ一つしかない。
あたしの事を“鳳凰妃”だと思っていないという事だ。
仲間だと思っていないから言わない。
言う必要が無い。
もしそうだとしたらあたしは──
「凛音、何を聞くんだ?」
「……遥香さんの事」
きっと優音も隠した理由を知ってる。
優音もあたしに中田から聞いていた事を隠していたから。
今聞くのもいいけれど、あたしは十夜達の口から直接聞きたい。
「あたし一人で行くから優音獅鷹へ行ってもいいよ。この事貴兄達に言っといて」
「お、オイ、ちょっと待てよ!凛音!」
返事を聞く前に歩き出すと、優音がグイッとあたしの手首を引いた。
足を止め振り返ると、茶色掛かった瞳と目が合う。
「俺も行く」
「優音も?獅鷹に行かなくていいの?」
「貴兄には後で電話しておく。お前を一人には出来ない」
「……ありがと」
コクンと小さく頷くと優音は掴んでいた手を離し、代わりに手を繋ぎにきた。
そこである事に気付いたあたし達。
「お前、靴は?」
「……さぁ?向こう、かな?」
足を見ると見事に裸足で。
そう言えばさっき脱いだかも、なんて今更思い出した。
パンプスを脱いだ場所へ視線を移せば、
「アレ、かな?」
地面に転がっているパンプスを発見。


