Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


けど、もしも“理由”なんて無かったとしたら、隠した理由はただ一つしかない。


あたしの事を“鳳凰妃”だと思っていないという事だ。


仲間だと思っていないから言わない。

言う必要が無い。


もしそうだとしたらあたしは──



「凛音、何を聞くんだ?」


「……遥香さんの事」



きっと優音も隠した理由を知ってる。


優音もあたしに中田から聞いていた事を隠していたから。


今聞くのもいいけれど、あたしは十夜達の口から直接聞きたい。



「あたし一人で行くから優音獅鷹へ行ってもいいよ。この事貴兄達に言っといて」


「お、オイ、ちょっと待てよ!凛音!」


返事を聞く前に歩き出すと、優音がグイッとあたしの手首を引いた。


足を止め振り返ると、茶色掛かった瞳と目が合う。


「俺も行く」


「優音も?獅鷹に行かなくていいの?」


「貴兄には後で電話しておく。お前を一人には出来ない」


「……ありがと」


コクンと小さく頷くと優音は掴んでいた手を離し、代わりに手を繋ぎにきた。


そこである事に気付いたあたし達。


「お前、靴は?」


「……さぁ?向こう、かな?」


足を見ると見事に裸足で。


そう言えばさっき脱いだかも、なんて今更思い出した。


パンプスを脱いだ場所へ視線を移せば、


「アレ、かな?」


地面に転がっているパンプスを発見。