うん。分かってたよ。
十夜はチョコ食べないだろうなーって。


分かってたけどさ。苦手でも一口ぐらい食べて欲しいなとも思うわけですよ。彼女としては。


一応さ、甘さ控えめにしたんだよ?



「りっちゃん」

「ん?」

「りっちゃんの愛情がいっぱい詰まってて美味しいよ♡」


「キモ」
「キモ」
「キモ」


あ、揃った。


上手いこと声が揃ったあたしと煌と陽は声だけじゃなく彼方を見る目も揃って冷ややかで。


「なんだよその顔は!いいよ!全部食べてやるからな!」

「ちょ、ずるいぞ彼方!」


お皿を自分の方へと引き寄せた彼方を見て、陽が奪い取ろうと前のめり気味にお皿に手を伸ばす。



「もう、彼方ちゃんと分けてよね!」


そう言うと、彼方の隣に座っていた壱さんがサッとお皿からトリュフを一粒取ってあたしに差し出してくれた。



「凛音ちゃん、はい、どーぞ」