「あたし達だけになっちゃったね、残ったの」
「……あぁ」
残ったのは、あたしと十夜の二人だけで。
そうなれば、自然と身体が寄っていくのは仕方ない。
そっと手を繋ぎにいけば、それに気付いてくれた十夜が握ってくれる。それだけで心が温かくなって、ふふっと笑みが零れた。
「……十夜、ありがとう。総長になる事認めてくれて」
十夜がどれだけ悩んでくれたかあたしは知ってる。いつも思い詰めた顔をして、何かを考えてた。
心配性の十夜の事だから、きっとあたしを自分の立場に変えて色々想像していたんだろう。
昼間あんなにも眠たそうにしてたのは、きっと夜寝れなかったからに違いない。
「俺の女じゃなかったら悩まなかった」
「……え?」
「お前が俺の女じゃなかったら即答してた」
「即答?」
「あぁ。お前には総長の素質があると思ってる」
「……あたしに?」
そう、なのかな。自分ではよく分からない。
だって、あたしの中の総長像は十夜や貴兄だから。
二人ともあたしとは正反対すぎて、自分が総長になった姿が想像出来ないもん。


