Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



「あたし達だけになっちゃったね、残ったの」

「……あぁ」



残ったのは、あたしと十夜の二人だけで。
そうなれば、自然と身体が寄っていくのは仕方ない。


そっと手を繋ぎにいけば、それに気付いてくれた十夜が握ってくれる。それだけで心が温かくなって、ふふっと笑みが零れた。



「……十夜、ありがとう。総長になる事認めてくれて」



十夜がどれだけ悩んでくれたかあたしは知ってる。いつも思い詰めた顔をして、何かを考えてた。


心配性の十夜の事だから、きっとあたしを自分の立場に変えて色々想像していたんだろう。

昼間あんなにも眠たそうにしてたのは、きっと夜寝れなかったからに違いない。



「俺の女じゃなかったら悩まなかった」

「……え?」

「お前が俺の女じゃなかったら即答してた」

「即答?」

「あぁ。お前には総長の素質があると思ってる」

「……あたしに?」



そう、なのかな。自分ではよく分からない。
だって、あたしの中の総長像は十夜や貴兄だから。


二人ともあたしとは正反対すぎて、自分が総長になった姿が想像出来ないもん。