「忙しくなるね、貴音」
「そうだな。凛音はあと一年半あるけど、ウチは半年しかねぇからな。ビシバシ叩き込まねぇと」
「ゲッ」
「ゲッ」
ニッコリと微笑み合う現総長と副総長に、ピクピクと顔を引き攣らせる新総長と副総長。
そりゃそんな顔になるよね。貴兄が厳しいのは前からだけど、慧くんもそれなりに厳しいから。
壱さんもそうだけど、普段優しい人って、なんでこういう時コワ……厳しくなるんだろう。不思議だ。
「お、俺、向こう行ってくる」
「俺も俺も!」
「あ、オイ優音!遊大!」
我先にと走り出した二人に貴兄が声を掛けるけど遅くて。二人はあっという間に陽達の元へ走って行ってしまった。
「あーあ。貴音が脅かすからだよ?」
「……いや、どっちかっつーとお前の方が黒かったぞ?」
「え、そうかな?そんな事ないと思うけど。ね?」
「そうだね。普通だと思うよ」
慧くんに同意を求められた壱さんは何故かにっこり笑い、あたしを見てきた。
何だろう。嫌な予感がする。
「凛音ちゃんの教育は俺がしようかな」
「ひぇ!」
デートの申し出なら大喜びで受けるけど、その申し出は全力でお断りしたい!


