「優音」
「貴兄、俺……」
「お前も凛音と同じだ」
「え?」
「皆、お前の事認めてる」
「っ」
「やってくれるか?」
貴兄のその問い掛けにキュッと唇を噛ぶ優音。
その後は黙ったままで、てっきり即答するものだと思ってたから口を噤んだ優音に驚いた。
「優音?」
優音が見据えているのは、貴兄でも慧くんでもなく成り行きを見守っていた遊大だった。
自分に視線が注がれた遊大は最初驚いていたけど、直ぐにその理由が分かったのか穏やかな笑みを口元に乗せる。
「お前を次期総長にしたいって一番初めに言ったのは俺だよ」
「……え?」
「っていうか、俺、お前が獅鷹に入ると決めた時にはもう総長にするって決めてたから」
「……は?え?」
優音が困惑するのは無理ないと思う。だって、あたしも意味分かんないから。
獅鷹に入ると決めた時にはもう総長にするって決めてたって、一体どういう事!?
「違うだろ、遊大。入るって決める前から『優音は総長に向いてる』って言ってぜ?」
「そうそう。先代にゴリ押ししてたもんね。先代なんて、凛音も獅鷹に入らせて、ダブル総長はどうだ?とか言ってたし」
「え、あたしも!?」
っていうか、ダブル総長って!女が総長ってうよりも珍しいんですけど!


