「到着?って誰が?」


千暁くんの口振りから察して、幹部達は誰かが来るって事を知ってたことになる。

けど、あたしは何も聞いていない。



「まぁ、行ったら分かる」

「何それ」



一体どういう事?


煌に聞いても答えてくれなさそうだったから隣に居る陽へ視線を送るけど、陽もニッと笑っただけで答えてくれなくて。

当然、彼方と壱さんも笑顔になるだけで何も答えてくれない。


残るはあと一人だけど、十夜は笑顔すら無さそうだから聞くのは諦める事にした。

取り敢えず、行ったら分かるらしいし、いっか。



「十夜、起きて。よく分かんないけど誰か来たらしいよ」



軽く揺すって起こすと、薄っすらと目を開けてあたしを見つめる十夜サン。けど、反応という反応はなく、無表情であたしを見てるだけ。


もしかしてこれは目を開けて寝てるってやつ?



「十夜、目開けて寝──」

「起きてる」

「……ソウデスカ」


分かりづらいんですよ、アナタ。


「起きてるんなら行こ……っん、」


って、何でこのタイミングでキス!?

っていうか、



「皆見てるから!」

「誰もいねぇよ」

「へ?」



ホントだ。誰もいない。

振り返れば、十夜の言う通り誰も居なくて。さっきまで居たのにいつの間に居なくなったんだろう……って、それでも今キスするのはおかしいから!