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「ねぇ、中田まだ見かけてないの?」

「あー、下の奴等に見掛けたら連絡入れろって言ってあるが全然連絡ねぇな」

「……そっか」




あの日から早五日が経ち、やっと落ち着いた日々が戻ってきた。


抗争が始まる前は毎日何かと慌ただしかったけど、終わってしまえばあっさりしたもので。今ではもう何事も無かったかの様な平穏な日々に戻っている。


気になっていた遊大と遥香さんの件は、抗争が終わった翌日、遊大に電話して上手くいった。


といっても、遥香さんと遊大がくっついたという訳ではなく、遊大に『遥香さんが連絡を取りたいって言ってる』と言っただけ。


そう言ったのは、十夜が遥香さんはまだ遊大の事を“好き”ではなく“気になっている”段階だと言ったから。


十夜は超が付くほど鈍感だから正直アテにならないと思ったけど、遥香さんと十夜は産まれた時からの幼馴染みだ。きっと十夜にしか分からない何かがあるのだろう。


今回ばかりは十夜の勘を信じるしかない。


遥香さんと遊大の件以外で気掛かりな事は中田の事。



「奴の事だ。忘れた頃に顔見せるだろ」

「……そうだね」