「寝る」
「え!?」
寝る!?
え、寝ちゃうの?
「何だよ。その残念そうな顔は」
「ざ、残念そうな顔なんてしてないし!」
隣に寝転んだ十夜が、枕元に置いてあったリモコンを手に取って電気を暗くする。電気は真っ暗だけど、ベッドサイドにあるランプを灯したから室内はほんのりと明るい。
「………」
「………」
十夜と寝るのは久しぶりだからか、何だかそわそわして落ち着かない。
何か喋らないとって思うけど、こんな時に限って何も思い浮かばないし、どうしよう……。
と思っていたら、仰向けになっていたあたしの身体を十夜が引き寄せてきた。
久しぶりの腕枕。直ぐ近くには十夜の綺麗な顔があって、目が合うとそっと額にキスされた。
そして、フゥと零れる小さな溜め息。
「十夜?」
溜め息なんかついてどうしたんだろう?
「ゆうべ、眠れなかった」
「え?」
「お前が居なかったから」
「あ……」
そうだ。昨夜は中田のマンションに居たんだ。
「寝てないの……?」
「……寝られると思ってんのか?」
「……っ」
言葉は責めているけど、声色は言葉と違って優しくて。そっと顔を上げれば、十夜はずっとあたしを見ていたらしく、直ぐに目が合った。
「心配かけて、ごめんね」
目を伏せてそう謝罪すると、返事の代わりに引き寄せられて。隙間がないぐらい身体が密着する。


