「……っ、十夜?」
身体を離した十夜が、脇腹に触れていたあたしの手を上からそっと覆った。手のひらいっぱいに感じる十夜の体温に、何故か顔が熱くなる。
「……あの時の女がお前だって気付いた時、ただ純粋に良かったって思った」
「え?」
良かった?
「あの時はもうあの時の女よりお前の事が好きになってた。けど、心の片隅にはあの時の女、リンがいた」
「あ……」
そうだ。遥香さんが言ってた。獅鷹の所にリンを捜しに行ってたって。
「あの頃の俺は、あの時の女を見つけたいという気持ちと、お前がいればいいって気持ちがごちゃ混ぜになって気持ちの整理がついてなかった」
「………」
「そんな時、お前があの時の女だって知って心底安堵した」
十、夜……。
「俺が好きになったのは“お前”だけだった」
「十夜……」
「これから先も、俺はお前以外を好きになる事は絶対にない」
「……っ、うぅ~」
真っ直ぐすぎるその言葉は、あたしの心のど真ん中を貫いた。
嬉しくて、本当に嬉しくて。伝えたい言葉が沢山頭に浮かんでいるのになかなか言葉にならなくて、歯痒い。


