「あの言葉が全てだよ。俺等はお前が笑ってくれたらそれでいい」

「遊大……」

「そもそも、あの時言った通り、俺は鳳皇の事を恨んでなかったんだよ。恨んでたら貴兄に頼んで抗争してもらったし。いや、一人で白狼に乗り込んでたかも」

「…………」

「何だよ、信じねぇのかよ」

「……信じ……る」


とは言ったものの、そんな簡単に納得出来る訳がなく。


でも、遊大の気性を考えればそうなのかもしれないと思った。


自分でも言ってるように、遊大は自分が悪くないと思ってたら一人で白狼に乗り込んでいくような性格だ。



「お前は何も悪くない。寧ろ、大事な事をお前に隠してた俺等の方が悪い」

「そんな事、」

「あるんだよ。前以て話してたらお前は傷付かずに済んだんだ。……ごめんな」

「……っ、謝らないでよ。あたしは大丈夫。大丈夫だから」



確かに、充くんから真実を聞かされた時は死ぬほど驚いたし傷付いた。


けど、後に遥香さんが教えてくれたから。

十夜達が……あたしに真実を教えてくれようとしてたことを。


順番は違ったけど、十夜達はあたしに真実を話そうとしてくれてた。


けど、話すよりも前に充くんの口から伝わってしまった。


充くんから真実を聞いてしまったあたしも勿論傷付いたけど、自分の口から伝えられなかった十夜達も同じように傷付いたと思う。


だから、そんなに自分を責めないで欲しい。


お願いだから……。




「十夜、帰ったらいっぱい話ししよう。話したかった事も、話したい事も。全部聞くから」

「……っ、あぁ」



遥香さんから聞いたけど、やっぱり十夜の口から直接聞きたい。


そして、十夜にも知って欲しい。


あたしがどれだけ十夜の事が好きか。






「皆で帰ろう」