Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



ねぇ、なんでここに居ないの?
どこに行ったの?


呼ぶだけじゃなくて傍に来てよ。
一緒に居て。



──ねぇ、皆、どこに居るの?



ねぇ、


十夜、どこに居るの?


ねぇ……



そう心の中で問いかけた時、指先に何か触れた気がした。


けど、今のあたしにはそれを確認する気力は残ってなくて、触れられた指先さえ動かせない。




……何だろう。

今の今まで寂しくなんてなかったのに急に寂しくなってきた。


水の冷たさなんて少しも感じなかったのに……。



……怖い。怖いよ。

ねぇ、誰かあたしの名前を呼んで。

傍に来てよ。



誰か……



そう切願した時、今度は指先じゃなくて手首に違和感を感じた。


何?と思った時にはもう抱き締められていて。



──感覚がなかった唇に、そっと熱が灯った。