Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】














……あぁ、あたし、死ぬのかもしれない。




薄れていく意識の中で真っ先に思ったのはそれだった。


目を閉じたら駄目だって分かっているのに、徐々に暗くなっていく視界のせいで自然と目が閉じていく。



十夜……



海水の冷たさなんてもう微塵も感じない。


まるで何かに纏われているような不思議な感覚に覆われて、恐怖なんて言葉は頭の片隅にも浮かんでこない。


寧ろ水中から見る水面が綺麗で、ずっと眺めていたいと思った。



少しずつ、少しずつ。

キラキラと波打つ水面から遠ざかっていく様を薄目で眺める。



もう、動きたくない。

このまま流れに身を委ねていたい。


そう思ってしまうほど水の中は心地良くて。


そっと目を閉じ、手足の力を抜いた。






真っ暗になった視界。

けど、不思議と寂しさは感じなかった。


それはきっと、頭の中で皆の声が聞こえているから。



“凛音”
“凛音ちゃん”
“りっちゃん”
“凛音さん”
“リン”



色々な呼び方であたしを呼んでくれる皆。


その時、ふと思った。


なんで皆は此処に居ないんだろうって。