「ぅ……っ、」
さっきも食らったけど、そんなの非じゃないぐらい痛い。
直接当たった所も勿論そうだけど、まさか手足の先までこんなに痺れて痛いなんて……。
これじゃ逃げ出したくても逃げ出せないよ。
「楠木。お前が喧嘩売ってきたせいでコイツはこんな目に合ってるんだぜ?“コレ”がただの脅し道具だとでも思ったか?」
「……ッ、」
「甘ぇんだよ。お前等を潰す為なら俺はどんな非道な事でもしてやる」
鳥肌が立つ程不気味な笑いが辺りに木霊する。
今のシンなら、言葉の通り鳳皇を潰す為なら本当にどんな事でもやるに違いない。
「──なぁ桐谷、タイマンしようぜ」
──自分が有利なら、余計に。
「お前……!」
まるで親友を遊びに誘うかのようなその陽気な口調に、一瞬聞き間違いなんじゃないかと疑った。
けど、静まり返っていた場が一気に沸いたからきっと聞き間違いじゃない。
「だめ……」
十夜とタイマンなんて、そんなの絶対に駄目だ。
だって、さっき車に轢かれたんだよ?
此処に居るのも不思議なぐらいなのに喧嘩なんか出来る訳ない。
頭から血流れてるし、服だってボロボロ。
見た感じじゃ分からないけど、これだけボロボロなら骨折していてもおかしくはない。
そんな状態で無傷なシンと喧嘩なんて絶対に駄目だ。


