「ッ……ゥ、」
至近距離だからそんなに威力はない筈だけど、不意打ちだったせいか威力が増したようで、膝がヒットしたのと同時に男の腕があたしの身体から離れた。
今だ!と、身体を左に捻ってもう一度男の腹を蹴る。
グラリとよろけたけれど、これも計算の内。
更に身体を捻って回転させ、不格好だけど無事着地する事に成功した。
「お前──、」
「凛音!!」
シンの声とあたしを呼ぶ声が重なる。
振り返って大丈夫だよと言いたいけれど、この場で一番近くに居るのは獅鷹でも鳳皇でもないシン達で。
早くこの場から立ち去らなきゃまた捕まってしまう。
そう思って、急いで地面を蹴った。
「な……っ、」
──けれど、シンとカイの傍を通り過ぎようとした時何かに足を引っ掛けられて前のめりに倒れてしまう。
「凛音!!」
「来るなっつってんだろーが!!」
響き渡るシンの怒声。
その切羽詰まった声に違和感を感じて、膝をついたまま顔を上げると、
「……とお、や……」
視線の先に心から逢いたいと願っていた人がいた。


