それは、絶望にも似た声だった。
一番初めに“ソレ”に気付いたのはカイ。
「凛音!!」
「リン!!」
左右の道を塞いだのは獅鷹のメンバー達で。
右には貴兄と嵐ちゃん、左には慧くんと時人くんがそれぞれメンバーを従えていた。
「……っ、なんで獅鷹が……っ!!」
絶望。
シンの頭の中はきっとその言葉で埋め尽くされているのだろう。青ざめた顔がそう物語っている。
「テメェ等!!こっち来るんじゃねぇぞ!!」
今までとは非にならないぐらい発狂し続けるシンは、三方から迫り来る敵に動揺し、視点が定まっていない。
左右からは獅鷹。背後からは鳳皇。
目の前には敵はいないけれど、そこは決して逃げられない大海原が広がっている。もう逃げ道はない。
もしあるとしたら、さっきカイが呼んだキョウだけだ。
けど、この人数を破ってここまで来る事なんて不可能に近い。──否、不可能だ。
それが分かっているからこんなにも発狂しているのだろう。
「凛音!!」
「りっちゃん!!」
「凛音ちゃん!!」
「凛音!!」
「……っ、みんな……っ!!」
鳳皇幹部達の声が耳に届いた瞬間、担いだ男の腕が一瞬緩んだ気がして、チャンスだと思った。
そう思った時にはもう勝手に身体が動いていて、
「ヴ……ッ、」
男の腹部に、思いっきりあたしの膝がめり込む。


