その声を聞いた瞬間、沈んでいた気持ちが一瞬で晴れた気がした。
「……っ、みんなっ……!」
縋るような思いで顔を上げると、一台の車と数十台のバイクがこっちへと向かって来ていて、それが十夜達だと分かった途端、嬉し涙が頬を伝った。
「行くぞ!」
「やだっ!!十夜……っ!みんなっ!!」
「うるせぇ!黙ってろ!!」
バシッと力任せに頬を殴られて、口内に鉄の味が広がる。
けど、殴られた事なんかどうでも良かった。
直ぐそこに十夜が居る。
それだけで痛みなんて感じない。
「っ、十夜……とおやぁぁぁぁ!!」
「黙ってろって言ってんだろうが!!」
「っ、……ぅ、」
走りながら器用にあたしを殴りにくるシンを見て思った。
きっとシンの脳裏には、“敗北”の二文字がくっきりと浮かんでいるのだろう。
それでも屈する事を拒んでいるのは、トップへの執着がまだ残っているから。
哀れだと思った。
トップなんてそんなものただの“肩書き”でしかないのに。
けど、それはあたしの考えであって、シンからすれば重要な事なんだろう。
だから窮地に追い込まれても諦めようとはしないんだ。
けど、
「シン、もう……、」
諦めないといけない時は必ず来る。


