「チッ」
不満げに出て行ったカイに苛ついたらしく、あたしに怒りをぶつけてくるシン。
ちょ……!
まさかまた前へ突き飛ばされるなんて思ってもなくて、反応が遅れてしまう。
「……ッ」
慌てて両手をついて踏み止まったけど、寸前まで迫っていた恐怖に心臓がバクバク波打って上手く息が出来ない。
……っ、ほんと、有り得ない。
コイツ、人を何だと思ってんのよ!
引っ張ったり押したり、あたしはアンタのオモチャじゃないんですけど!!
いつもなら思いっきり不満をぶつけているけど、シンのお陰で体力が底をついていて、今は怒鳴る気力さえ残ってない。
今は逃げる時の事を考えて少しでも体力を回復させなきゃ。
「……チッ。モタモタしてんじゃねぇよ、カス!」
自分が押したくせに人のせいにしないで欲しいんですけど!
車から引き摺り降ろされたかと思ったらドンッと突き飛ばされて、
気付けば運転手だった男の胸の中に。
「担げ」
逃げようと思うよりも先にその命令をされてしまい、あっという間に担がれてしまう。
「……っ、下ろしてよ!」
最悪な事に、担いだ男は嵐ちゃん並みにデカくて。
身長だけなら未だしも体格も似てるなんて、どう抵抗していいのかも分からない。
絶体絶命。
その言葉が脳裏に浮かぶ。
と、その時、
「シン!!早く!!」
カイの怒声にも似た声がその場に響いた。


