「……っ、離せ!!」
有り得ないスピードで進む車は、鳳皇とは反対方向へと向かっていた。
弓反りになったまま視線をリアガラスに向けると、遠くの方に見えたのは鳳皇の車と幾つかの人影。
此処からでは誰なのかはハッキリ確認出来ないけど、もしかしたら貴兄達が戻ってきたのかもしれない。
だとしたら、優音の事は心配しなくても大丈夫だ。貴兄達が保護してくれる。
そう安堵した時、
「……っ、シン!!」
助手席から切羽詰まった声が放たれた。
その声を聞いて、漸くそこに居るのがカイだと気付いた。
っていうか、今はそんな事よりも事態を把握する事が優先だ。カイの焦りようからして、Dにとって不都合な事があったに違いない。
「──クソッ。行く手を阻んでやがる」
勘は見事に的中。
シンのその言葉は、不安しかないあたしにとって救いの言葉に聞こえた。
みんな……。
行く手を阻んでいるのが誰かなのかは分からないけれど、そこに居るのが信頼してる仲間だって事は確かで。
絶対に助けてくれる。
そう思っただけで気持ちが和らいだ。
「クソがッ!!ここで止まる訳にはいかねぇんだよ!!」
脇道に逸れろ!と怒鳴り散らすシンは既に正気を失っていて。
どうやら、何が何でも突破する気らしい。


