黙ってあたしに集中してればいいのに、何がキッカケなのか突然振り返ったカイ。
十夜達の車は豆粒程度で、まだ着きそうにない。
こうなったら時間を稼ぐしか……。
「クソ女が!!カイ、その女を捕まえろ!!」
「……っ、」
殺気立ったその場にシンの怒声が響く。
馬鹿な男だ。
そんな事を叫んだら逃げて下さいと言ってるようなもんなのに。
もしかしてあたしが大人しく捕まるとでも思ってんの?
「チッ。女のクセにッ!!」
「そう言われるのが一番ムカつくんですけど!!」
捕まえようと手を伸ばしてきたカイをひらりと交わして、逆に回し蹴りをお見舞いする。
けど、腐っても暴走族の幹部。素直に食らってはくれない。
「テメェ等もあの女を捕まえろ!!」
周囲の下っ端にそう命令するシンは鳳皇が気になっているのか参戦しようとはせずただ怒声を上げるだけ。
この人数だったらすぐに捕まえられると思ってるんだろうけど、お生憎様、あたしはそう簡単には捕まりません。
……なんて余裕をぶっこいていたあたしだけど、どうやら今日はとことんツイていないらしい。
「……っ、凛音、逃げろ!!」
突然響いた優音の声にビクッと身体が揺れる。
直ぐ様声がした方へ振り向くと何故か優音の傍にシンが居て、
「なんで……っ」
驚愕に目を見開いた。
「ゆ──」
「ソイツを車に乗せろ!!」
「……っ」
シンが頭上に掲げていたのは、スタンガンではなく車の鍵。
それは、間違いなく慧くんが優音に渡したもの。
「……チッ」
最悪だ。完全に忘れていた。
慧くんから鍵を受け取った時、奴等に見られてたんだった。


