鋭さが増した双眸と、忌々しげに落とされた舌打ち。
それは、敵意というより殺意といった方がしっくりくる。
女のあたしにここまで敵意を向けてくるって事は、シンは相当焦ってるんだと思う。
コイツ等が鳳皇を潰す為にどういう計画を立ててたのかは知らないけれど、鳳皇があたしの居場所を突き止めた時点でコイツの計画は崩壊している。
それはコイツも分かってる筈なのに、それでも降参する気がないって事はまだトップへの執着が残っているのだろう。
だから無謀な事を繰り返すんだ。
「──もう諦めたら?」
「……あぁ?何言ってんのか分かんねぇな」
「嘘。分かってんでしょ?」
「………」
「アンタは鳳皇に勝てない」
「……っ、うるせぇ!黙れやっ!!」
「黙らない」
図星だからそんなにキレるんでしょ?
図星だからそんなに動揺してるんでしょ?
「いい加減もう認めたら?」
「……っ、このクソアマ!!」
あたしの一言にシンの目がカッと見開かれて、スタンガンを持っている手が荒々しく空を切る。
異様な殺気を放ちながらジリッとあたしの方へと歩みを進めてくるシンを、Dのメンバー達は息を殺しながら見つめていた。
「………」
「………」
シンが一歩進む度、あたしも同じ様に一歩後退して。
そのもどかしいやり取りを穴が空くほど真剣に見ているメンバー達は、誰もあたしの目論見に気付いていない。
それでいい。
もっとあたしに集中しろ。
あと少し。
あと少しで鳳皇が此処に着く。
「……っ、シン!鳳皇が!!」
──けど、そんなに上手く事は運ばないらしい。


