「あの人達を誰だと思ってんだよ。獅鷹幹部だぞ」
「いやいや、優音も幹部じゃない」
「俺なんかあの人達のお飾りみたいなモンだよ」
「なーに言ってんの、次期総長が」
「なっ!?何言ってんだよ馬鹿凛音!」
「も~、照れちゃって優音くんってば」
「イテッ」
にやけ顔でバシンと背中を叩けば、お返しと言わんばかりに頬っぺたを引っ張られて。
「痛いー!」
今の状況を完全に忘れているあたし達。
安心してたんだと思う。
獅鷹に助けて貰ったから。
遊大は攫われてしまったけど、“あたし”という人質がいなくなった以上獅鷹が負ける訳がないと、そう高を括っていた。
──だけど、そう簡単にいかないものだと直後に思い知らされる事になる。
「ん?」
車に乗ろうとした時、背後でドサッと何か荷物の様な物が落ちる音がして立ち止まった。
先に車に乗り込もうとしていた優音もその音に気付いたみたいで、不格好な体勢のまま肩越しに振り返る。
「っ」
──息を呑んだのはほぼ同時。
目に飛び込んできた有り得ない光景に、あたしと優音は目を見開いて固まった。
「……ゆう、だい?」
「………」
「え……遊大?あれって遊大?だよね?」
確信が持てなくて、優音と遊大であろう人を交互に見ながら問いかけた。
けど、優音は目を細めたまま何も応えてくれない。
きっと、優音もあたしと同じで“アレ”が遊大だとは信じられないのだろう。
遊大は奴等に攫われた。
確かにそう聞いた。
だから、こんな所にいる筈がない。


