「俺等が此処から離れる時に身を隠した筈だ」
「じゃあなんで……」
「目の前に、現れたんです」
「え?」
貴兄との会話に割って入って来た誠人くんを訝しげに見つめるあたしと貴兄。
だって、隠れてたのに目の前に現れるとか、意味が分からない。
「どういうことだ」
「……奴等が現れたのは、総長達が離れてすぐでした」
「離れてすぐ?」
「それって……」
「俺等が離れて行くのをどこかで見てたって事か」
なるほど、そういう事だったんだ。それなら目の前に現れたのも説明がつく。
「見つかった原因は分かったが何の為に遊大を拉致ったんだよ」
「それは分からない。けど、何か魂胆がある筈だ」
「……クソッ。凛音の次は遊大かよ」
苛立ちを隠しきれない嵐ちゃんがすぐ近くに転がっていた木材を思いきり蹴り飛ばした。
すると、その木材は近くにいた時人くん目掛けて飛んでいき、左腕スレスレの所を通過。
普段温厚な時人くんもこれにはぶちキレて、嵐ちゃんに怒声を浴びせまくった。
けど、嵐ちゃんは「悪い悪い」と軽い謝罪だけでその後は完全無視。有り得ない。


